【建築施工】鉄骨工事★
〈単語〉
トルシア形高力ボルト
- 高力六角ボルトとは違い、ボルトの頭が丸いこと、ボルト軸の先端にピンテールがついています。所定のトルクが導入されると、このピンテールが切れる仕組みです。トルシア型ボルトは、高力六角ボルトに比べて、施工管理が簡単、ボルトに導入される軸力が安定している。
- トルシア型ボルトの記号を、「S10T」と書きます。高力六角ボルトは、「F10T」です。現在、高力ボルトのほとんどがS10Tを使用しています。
高力ボルト
建方
- 現場において構成材を組み立てること。木造建築では土台・柱・梁・小屋組を組み上げる棟上げまで、鉄骨造建築では仮ボルト締め・歪み直しまでの作業をいう。
建入れ直し
- 構造部材が所定の精度に納まるよう位置や角度を調整すること。「建て入れ」とは、柱の垂直の程度。一般的に柱は垂直に建っています。ただ、建方は今でも人が行う作業です。どうしても柱が垂直でない場合や、誤差が生じる。
ターンバックル
バースプレート
ベースプレート
治具
- 部材を固定、位置設定を行う道具
ディスクグラインダー
- ディスク状(円盤状)の砥石を使って研磨・研削・切断加工ができる。
〈高力ボルト〉
- 一群の高力ボルトの締め付けは、群の中央部より周辺に向かう順序で行う。
- 高力ボルト用の孔あけは、鉄骨製作工場で行い、ドリルあけとする。
- 接合面をブラスト処理する場合は、孔あけ加工した後にブラスト処理を行う。
- 高力ボルトは包装の完全なものを未開封のまま工場に搬入する。
- ボルトの頭部または座金の接触面に鋼材のまくれ、歪み等がある場合は、ディスクグラインダー掛けにより取り除き、平に仕上げる。
- 作業場所の気温が0℃以下となり、接合部に着氷の恐れがある場合は、締付け作業を中止する。
- ボルト頭部またはナットとの接合部材の面が、1/20以上傾斜して いる場合は、勾配座金を使用する。
- 接合部の材厚の差等による1mmを超える肌すきは、フィラープレートを用いて補う。
錆止め塗装を行なってはいけない部分
- 高力ボルト摩擦接合部の摩擦面には、錆止め塗装を行わない。
- コンクリートに埋め込まれている部分は、錆止め塗装を行わない。
- 耐火被覆材の接着面には、錆止め塗装を行わない。
- 炎天下で鋼材表面の温度50℃以上となった場合は、錆止め塗装を中止する。
- ピン、ローラー等密着する部分及び回転又は摺動面(しゅうどうめん)で削り仕上げした部分
- 密閉される閉鎖型断面の内面
- 組立によって肌合せとなる部分
締め付け
- 高力ボルトの締め付けにあたり、作業場所の温度が0℃以下となり、接合部に着氷の恐れがある場合には、締め付け作業を行わない。
- 締め付けは、一次締め付け、マーキング、本締めの3段階で行う。
- 一次締め終了後に行うボルトのマーキングは、ボルト軸から、ナット、座金及び母材(添え板)にかけて行う。
検査
トルシア形高力ボルトの場合
- 締め付けの完了した全てのボルトのピンテールが破断していることを確認
- 一次締め付け後に付したマークのズレにより、共回り、軸回りの有無
- ナットの回転量及びナットから突き出た全長の過不足の検査
- 高力六角ボルト(JIS形高力ボルト)の締付けをナット回転法で行う場合、一次締付け後のナットの回転量が120°±30°の範囲にあるものを合格とする。
いずれについても異常が認められないものを合格とする。
〈建方〉
- 普通ボルトの長さは首下長さとし、締め付け終了後、ねじ山がナットの外に3山以上突き出るようなものを選定する。
- 建方には、ワイヤーロープ、シャックル、吊金物など許容荷重範囲内で正しく使う。
高力ボルトの締め付け(仮ボルトの締め付け)
- 高力ボルト接合において、鉄骨建方時の仮ボルトは、本接合のボルトと同軸径をもつ普通ボルト(中ボルト)等で損傷のないものを使用する。
建入れ直し
- 「ターンバックル付き筋かい」を有する構造物においては「そのターンバックル付き筋かい」を利用して建て入れ直しを行ってはいけない。
- 建方の進行とともに小区画に区切って「建て入れ直し」「建て入れ検査」を行う事が望ましい。
- 架構の倒壊防止用ワイヤロープを使用する場合、このワイヤロープを建入れ直しに用に兼用してもいい。
(建て入れ直しは、建て方が全て完了してから行ったのでは十分に修正できない場合が多いため)
仮ボルトの締め付け
- 高力ボルト接合による、継手の仮ボルトの本数は、一群のボルト数の1/3程度かつ、2本以上とする。
〈溶接〉
- 溶接の欠陥発生を防ぐため、一般に、溶接の始端及び終端には原則として適切な形状の鋼製「エンドタブ」を取り付ける。
- 作業場所の温度が5℃を下回る場合は、溶接を行ってはいけない。なお、作業場所の温度が−5℃〜5℃の時は、接合部から100mm(10cm)の範囲を適切に加熱すれば溶接することができる。
- 溶接姿勢は、治具やポジショナー等を利用して、出来るだけ下向きとする。(下向きの姿勢が最も容易に溶接できるため)
- 柱と柱を現場溶接継手とする場合は、仮接合するためにエレクションピースを用いる。エレクションピースは、鉄骨本体にあらかじめ工場において、工作図あるいは設計図、施工図に従い正しい位置に取り付ける。
- 溶接材料は、湿気の吸収をしないように保管する。吸湿の疑いがあるものは、再乾燥させてから使用する。
- 不合格溶接の補修用溶接棒は、なるべく細径のものがよく、手溶接の場合は4mm以下とする。
- 溶接部は、溶接に先立ち、水分、油、スラグ、塗料、錆等の溶接に支障となるものを除去する。ただし、溶接に支障のないミルスケール及び塗料は、除去しなくてもよい。
スタッド溶接
- デッキプレートを貫通させてスタッド溶接を行う場合は、事前に引っ張り試験等を行なって溶接部の健全性が確保できる施工条件を定める。
- スタッド溶接後の打撃曲げ試験は、100本に1本の割合でハンマーでたたくことによりスタッドを15度曲げ、溶接部の割れがないか等確認する。欠陥がなければ、その試験スタッドは、曲がったまま使用することができる。
隅肉溶接
- 隅肉溶接の溶接長さは、有効溶接長さに隅肉サイズの2倍を加えたものであり、その長さを確保するように施工する。
〈アンカーボルトの設置〉
〈その他〉
耐火被覆工法
- 工事現場に搬入した耐火被覆の材料においては給水や汚水及び材料の反り、ひび割れ、破損のないようにパレット積み、シート掛けなどをして保管する。
- 床書き現寸は、工作図をもってその一部または全部を省略することができる。JASS6